June 28, 2005

その人、独身?

タイトルは、酒井順子さんが最近出版したエッセイ集である。
酒井順子さんていったら「負け犬」ブームの火付け役さ。

このエッセイは、やはり負け犬である著者の素直なエッセイ。たまたまライブへ行く前によった本屋で見つけて、面白そうだったので、電車の中で読んでいた。

4062129884その人、独身?
酒井 順子

講談社 2005-07-01
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ときどき、面白いエッセイがあり、それがシモネタの話なのだが、思わず吹き出してしまった。
電車の中で、本を読みながらニソニソ笑っている姿もちょっとね、なのだが、笑いが止まらなくて困った。続きを読みたかったが、こりゃいかんと思い、別のページをめくる。

この人のエッセイは、ズバズバ言っているんだが、語り口が優しいというか、嫌みがない文章だ。だから読んでいても、面白いし、共感ができる。まあ本人自身の性格が、控えめなんだろうな、きっと。

さて、酒井さんがエッセイの中で、エッセイを書くことは、精神の衣服を脱ぎすてるようなもの、と言っている。で、知人から「あんなこと書いて恥ずかしくないの?」とか聞かれることもあるようだ。

なんとなく気持ちはわかるような気がする。でも、そんなに恥ずかしいこと書いているようには感じないが・・・?、と思っていたのだが、読み進めていくと、「男女二人きりでも誘われなかった「琉球事件」」というタイトルのエッセイがあり、これが、いわゆる酒井さんの周りが言う恥ずかしいというエッセイかもしれない。

これは、二人っきりで沖縄まで旅行に行ったのに、なーんもなかった、という著者の経験。恋人ではなかったから、というのもあるかもしれないが、女性にとったらこりゃ結構堪えるできごとかもしれない。

エッセイの中では、どうも彼女の周りにも、同じような経験をした「負け犬」が結構いるという。どうしてだ?という疑問を持ちかけていて、いろいろ分析しているのだ。

で、結論、「負け犬だから。」とか(笑)

こういう話題を確かにエッセイに取り上げて、自分のことを語る酒井さんは、精神の裸族だね。確かに、こういう経験はなかなか人に言えることではない。素晴らしいよ!

いやあ、しかし、実は私も最近同じような経験をしている。
ひょんなことから、普通誘ってもおかしくないよな、というシチュエーションになったけれども、相手は「ヘ?」ってなもので、なんだかな〜、という感じ。

いや、そういう関係になる、ならないの問題じゃなく、そういうシチュエーションになったとき、誘われないということは、「女としての魅力が無くなったのかな?」とか「やっぱおばさんになったか?」とか、30代後半の若いけれども、30代前半の若さとは違う微妙な年代の女性にとっては、こういう事実というのは、深刻な問題になるのである。

これが、5年前だったら確実に誘われていただろうに、と思うような状況である。

もしこの話題がなかったら、私もこういうことは誰にも話さない。でも、なんだみんな同じ経験してるんじゃん、と思ったら気が楽になる。

酒井さんの分析によると、これは、「負け犬だから誘われない」と言うのだ。負け犬のことをおもしろがって友人つきあいをするような独身男性はきっと、したたるような性欲など持っていない現代風の男性(そうでなかったらとっくに結婚しているはず)、と分析しているのだ。

そうかもしれないな。

だいたい女性とふたりっきりなり、甘い雰囲気になってきて、相手に好感を持っていたら、手を握るとか、体に触れるとか、男性というのは困った生き物で、手が早い。たいてい、結婚していたり、あるいは彼女がちゃんといるのに、とかいろいろだが、女性ときちんとつきあっている人は、そういう雰囲気を敏感に察知する。

結婚しよう、と堂々と女性に言えるのは男性で、結婚へ導くのも、もちろん男性の方がしやすい。女性がプロポーズしてという話も最近はめずらしくなくなっているかもしれないが、男性は、結婚へ堂々と女性を導くことができる生き物だ。
女性は、男性のそれを待っているわけで。

しかし主導権が握れる筈の男性が結婚しないで独身でいるということは、まあ現代風というか、別に問題があるかもしれないけれども、何かがあるのだ。
独身男性と一緒しながら負け犬女が何もないのは、負け犬を相手にしたら後が面倒臭い、という男性の思いがあるからなのかもしれない。

おそらく、同じ年代のダンナ持ちの主婦の方が、男性とのアバンチュールを思う存分楽しんでいるのではないだろうか。ネットの不倫も主婦が盛んだ、という話があるのも、そうなのかもしれない。

これじゃ、ますます少子化は進む。
結婚できる対象であるはずの独身男性、子供を産める負け犬女性がくっつくべきなんだけども、どうもくっつかない。これが少子化に拍車をかけているという説もうなずけるよな。

少子化少子化って言うけれども、世の中がこんな現状じゃね、将来は絶望的だね。

それにしても、最近は年下君の純粋なまっすぐな態度にホロロと来るものだ。負け犬世代は、胸のときめきすら忘れつつあるが、それを思い起こさせてくれて、女性として見てもらっているという意思を芽生えさせてくれる年下の男性は貴重な存在ではないだろうか。

しかし、こういう話題を書くのも、年下がいい、だなんて書くのも、年増の負け犬女だからこそなのかもしれない。

そう思いながら、エッセイに引き込まれ、うんうん、あるあると読んでいる、なかなかツボをついていておもしろい一冊である。30代後半の同年代の負け犬女性におすすめです。

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この記事へのコメント
こんにちは。はじめまして。
ちょうど『その人、独身?』を読み終わったところで、他の人はどんな感じで読んだのかなーと思ってたところ、こちらにたどり着きました。
お書きになっていた感想が面白くて、引き込まれてしまいました。さすがライターさんですねー。
Posted by gowest at July 21, 2005 21:42