May 01, 2005

起業バカ読破

先日ここで紹介した「起業バカ」を読破した。
読んでいると、なんか日本の社会って腐っているんだな〜って実感。

この本では、フランチャイズの落とし穴の実例やベンチャー企業の乗っ取りのワナとか、とにかく豊富な事例をあげている。著者自身も、起業に失敗しているから、なおさら説得力はある。
起業バカ
4334933564渡辺 仁

光文社 2005-04-22
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そんな著者の言葉に、こんな文があった。

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しかし、正直にいうともともとお私はおカネに執着するタイプではない。金銭感覚は人並みにあると考えているが、ガツガツ儲けようという気持ちは薄いように思う。それよりも、カッコつけるわけじゃないが、「志」を大事にするタイプだ。だが、いま、はっきり言う。これは起業家として致命的な欠陥なのだ、と。カネに執着し、欲を剥きだしにし、人を押しのけるほどの気迫がなければ成功なんて覚束ないのだ。
---「起業バカ」187頁 引用

私もその通りだと思う。これは、起業してからわかったこと。私は、最初から欠陥を持った起業家だったんだなあ。
しかし起業するとき、誰がこんなことを具体的に教えてくれただろうか? 起業の手続きをお願いした会計士さんや司法書士さんも、こんなことはひと言も言わなかった。

ただ私は、起業する際、資金は十分にあった。この本を読むとよくわかるが、事業に資金は必要である。それが、借りるお金ではなく、自分で賄う資金である。その点では、私はかなり救われた。おかげで貯金がほとんど無くなってしまったが、借金は無いから、そういった意味では、やりなおしは効く。

私は常々会計士さんから聞いている話に、「自己資金が用意できなければ起業しちゃいけない、1円起業だって、登録費、机、パソコン、コピー機と必要なものを買うのも「借入金」になってしまう。最初から赤字の企業なんて信用はないし、資金繰りに苦労するだけ。」というのがある。

ほんとその通りである。起業すると、予想外のお金が確かに出ていく。人の裏切りもたくさんある。よほど利益を上げていかないと、いざとなったときにヤバイ。そして、銀行から借り入れしたって、失敗すれば、中小企業なんて、社長の財産から何から何まで吸い取られる。

著者は、この点にも最後にしっかりと触れている。
「起業バカ」というタイトル通り、日本は、起業バカばかりである。また、「1円起業」などという、一見、若手が起業しやすい、良いしくみを作っておきながら、日本には、1円起業を支援する善良なしくみがほとんどないのである。

「1円で起業できる!」なんていうおいしい話。うっかり乗ると、自分の首を絞めることになる。
この制度だって5年で資本力をつけなければ、会社は続けられない。そのときに残るのは、借金なのである。

「起業」に興味がある人は、一度この本を読んでいくと良いだろう。体験者の言葉は何よりも重い。

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